韓国のゲストは何日前に予約するのか — 160室の実データで見る
韓国のお客さんは直前に決める、とよく言われます。私たちもインバウンドの記事で、飲食予約のデータを引いて「リードタイムは約12日」と書きました。ただ、自分たちの予約台帳を眺めていると、そこまで直前ではない気がしていました。特に一棟貸しに来る家族やグループは、けっこう前から入っている。そこで、運営している約160室のうちAirHostに予約が残っている分を、国籍ごとに「チェックインの何日前に予約が入ったか」で並べてみました。2024年9月から2026年9月までのチェックイン、確定予約で約2万件です。
SUMMARYこの記事で分かること
- 韓国のゲストの予約は「直前」ではなく、中央値で5〜6週間前。人数が増えるほど早く、5人以上のグループは8週間前後に入ること
- 日本・台湾・香港・欧米で、予約の入る時期と泊数がどう違うか
- キャンセル率は国籍よりリードタイムで決まっていて、韓国が特に高いわけではないこと
まず整理:誰の予約を見ているのか
対象は福岡市内とその周辺で私たちが運営する物件で、定員6名以上の一棟貸しが多い構成です。国籍は予約サイトのプロフィールの国で、件数ベースでは韓国と日本がそれぞれ3割前後、台湾が15%、香港が1割弱、残りが中国・米国・英国・シンガポール・タイなどです。韓国の予約は9割近くがAirbnb経由で、日本の予約はBooking.comと楽天系が半分を占めます。
リードタイムは「チェックイン日 − 予約日」で数えました。ひとつ注意しておくと、この種の集計は予約した月で切ると直近の月ほど短く見えます。まだチェックインしていない先の予約が数字に入らないからです。ここではチェックイン月で見ています。
国別のリードタイム:韓国は「5〜6週間前」
| 国・地域 | リードの中央値 | 7日以内に入る割合 | 60日より前に入る割合 | 平均泊数 | 1泊の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 韓国 | 5〜6週間 | 1割弱 | 3割 | 2.4泊 | 2割 |
| 日本 | 5週間前後 | 1割強 | 3割弱 | 1.4泊 | 7割 |
| 台湾 | 3か月前後 | 数% | 7割 | 3.1泊 | 2割 |
| 香港 | 7週間前後 | 数% | 4割 | 3.1泊 | 2割強 |
| 中国 | 1か月前後 | 1割強 | 3割 | 3.0泊 | 2割 |
| 米国 | 7週間前後 | 1割半 | 4割 | 3.4泊 | 2割弱 |
| 豪州・シンガポール・タイ | 2か月半〜3か月 | 数% | 6割前後 | 3泊 | 2割 |
韓国の中央値は5〜6週間で、四分位で見ると3週間から10週間の間に半分が入ります。7日以内は1割弱、14日以内でも2割弱です。直前予約が多い、という印象は数字には出ませんでした。分布の形は日本とほとんど同じで、違うのは泊数です。日本の予約は7割が1泊、韓国は2泊と3泊で8割を超えます。
台湾は別の動き方をします。中央値が3か月前後で、半数が3か月より前に入ります。夏休みや年始の家族旅行を早く押さえる市場で、台湾からの予約が入り始めると、その月の週末はかなり前から埋まっていきます。香港と米国は韓国と台湾の間。米国は7日以内が1割半いる一方で3か月以上前も3割近くあり、長期の計画客と直前の周遊客が混ざっています。
韓国の中を分けると:人数が増えるほど早い
「韓国は直前」という話が出てくる理由は、たぶんここにあります。1〜2人の予約に限ると中央値は3〜4週間で、7日以内が2割弱、14日以内で3割です。飲食予約のリードが12日、という数字と矛盾しない範囲です。
| 韓国・人数 | 全体に占める割合 | リードの中央値 | 7日以内 | 30日より前 |
|---|---|---|---|---|
| 1〜2人 | 2割 | 3〜4週間 | 2割弱 | 4割台 |
| 3〜4人 | 4割強 | 5週間前後 | 1割弱 | 6割 |
| 5〜6人 | 2割 | 7〜8週間 | 数% | 7割超 |
| 7人以上 | 1割強 | 2か月前後 | 数% | 7割超 |
5人以上のグループは中央値で8週間前後、7割超が1か月より前に入り、1週間以内は数%しかありません。一棟貸しを探す家族やグループは、航空券と一緒に宿を決めているように見えます。人数が増えるほど泊数は少し短くなり(1〜2人で2.6泊、7人以上で2泊前後)、日程は短く、決めるのは早い。

曜日と時期でも差が出ます。土曜チェックインの予約は中央値で7週間前、平日は4〜5週間前。秋夕(2025年は10月上旬)のチェックインは中央値で3か月近く前に入っていました。旧正月は5〜8週間前で、秋夕ほど早くはありません。月別に見ると韓国のリード中央値は3週間から2か月半の間で動き、2026年の夏は3〜4週間と短めでした。
POINT一棟貸しの韓国グループは、6〜8週間前に決めている
定員6名以上の物件にとって、韓国の主な客層は3人以上の家族・グループです。その予約はチェックインの1〜2か月前に入ります。直前割で拾う客層ではなく、先の日付を適正価格で開けておくことで取る客層です。
キャンセルは国籍より「いつ入ったか」で決まる
韓国はキャンセルが多い、という話も、私たちのデータでは確認できませんでした。確定とキャンセルを合わせた件数に対するキャンセル率は、韓国・日本・香港がいずれも1割強、台湾が15%前後で、国籍による差は小さいです。
差が出るのはリードタイムのほうです。チェックインの2週間以内に入った予約のキャンセル率は5%未満、1〜2か月前は1割前後、2か月より前に入った予約は2割前後になります。韓国だけ取り出しても同じ形です。早く入る台湾の予約のキャンセル率がやや高いのも、国籍ではなくリードの長さで説明がつきます。

早い予約はありがたい反面、5件に1件は消えます。消えた枝を直前に売り直す手段(直前割や1泊可)は、韓国客のためではなく、早い予約の取り消しを埋めるために残しておく道具です。
結論:国別に、いつ・何を開けておくか
| 客層 | 予約が入る時期 | 値付けと最低泊数の考え方 |
|---|---|---|
| 韓国の家族・グループ(3人以上) | 1〜2か月前。土曜INと連休はさらに前 | 60〜90日先の週末・連休を早く安くしない。最低2泊で受ける |
| 韓国の1〜2人 | 3〜4週間前、2割弱は1週間以内 | 直前割の主な対象。1泊可にする枝はここに合わせる |
| 日本 | 5週間前後、7割が1泊、半分が金土IN | 週末の1泊需要。清掃を含めた1泊の単価設定が効く |
| 台湾・豪州・シンガポール | 3か月前後 | 3か月以上先の夏休み・年始を早めに開ける。カレンダーを1年先まで出しておく |
| 香港・米国 | 7週間前後、米国は直前と3か月前の二山 | 直前割と早期の両方が効く。長期滞在の設備を案内に出す |
事前に確認しておくこと:
- 予約サイトのカレンダーが何か月先まで開いているか(台湾・東南アジアは3か月以上前に動く)
- 週末と連休の60〜90日前に、早期の値下げや直前割の設定が効いていないか
- 最低泊数が週末2泊になっているか。1泊可にする場合は直前(例:14日以内)に限っているか
- キャンセル規定が、2か月以上前の予約の取り消し(2割前後)を織り込んでいるか
- 自社の国籍別リードタイムを、同じ切り方(チェックイン月・人数別)で一度見たことがあるか
補足:この集計の限界

数字はすべて私たちの物件の予約で、福岡の一棟貸し中心の構成に偏っています。都市部のワンルームや、ホテル、他地域では違う形になるはずです。国籍は予約サイトの登録国で、居住国と国籍がずれる人も含まれます。キャンセルは「いつ取り消したか」の記録がないため、率だけを見ています。件数の少ない国(豪州・タイなど数百件)は、季節の偶然で動きやすい数字です。
この記事の前に書いたインバウンドの記事では、外部データをもとに韓国の予約を「直前」と整理しました。自社のデータで見直した結果、少人数の予約についてはそのとおりで、一棟貸しに来るグループについては違っていた、というのがこの記事の結論です。



