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【2026年最新】民泊の「ゼロ日規制」とは?今後営業できなくなる可能性は?

【2026年最新】民泊の「ゼロ日規制」とは?今後営業できなくなる可能性は?

2026年7月、国は民泊新法(住宅宿泊事業法)の営業日数を自治体が条例で「0日」にすることを認めました。これまで「適切ではない」とされてきた、いわゆるゼロ日規制の解禁です。東京では豊島区が住宅地での新規禁止と既存施設への日数制限を決め、台東区・新宿区も新規禁止に向けた条例改正を進めています。京都市も同じ方向の素案を出しました。この記事では、通知の中身を一次資料で確認したうえで、「自分の物件は営業できなくなるのか」を、地域と物件の状況ごとに整理します。福岡の物件がいまどの位置にいるかも、2026年9月時点の情報で書いています。

SUMMARYこの記事で分かること

  • ゼロ日規制で自治体に何ができるようになったのか(新規禁止・既存への制限・ICT管理の義務付け)
  • 実際に動いた自治体はどこで、既存の届出住宅はどう扱われているのか
  • 福岡の物件はいま対象外である理由と、今後「営業できなくなる」順番・確認すべきこと

まず整理:ゼロ日規制とは何か

まず整理:ゼロ日規制とは何か

民泊新法(住宅宿泊事業法)は、届出だけで住宅を宿泊に使える代わりに、人を泊められるのは年180日までと定めています。この180日は上限で、法18条により、都道府県・保健所設置市・特別区は「生活環境の悪化を防止するため必要があるとき」に、条例で区域と期間を絞ることができます。新宿区の住居専用地域での平日営業制限や、京都市の住居専用地域で営業期間を原則1月15日正午から3月16日正午までに限る規制は、この条文が根拠です。

この期間を条例で0日にしてしまえば、その区域では民泊新法の営業が事実上できなくなります。これが「ゼロ日規制」です。2017年12月に国が出した施行要領(ガイドライン)は、年間全期間の一律禁止は法の目的を逸脱し「適切ではない」と明記していました。条例で日数を減らすことはできても、ゼロにはできない。これが2026年6月までの前提でした。

ゼロ日規制が向いているのは、あくまで民泊新法の届出住宅です。旅館業法の許可(簡易宿所・旅館・ホテル)にはもともと日数の上限がなく、この条文の対象ではありません。ただし通知は簡易宿所との「整合」にも触れており、この点は後の章で扱います。

2026年7月の通知で何が変わったか

2026年7月15日、厚生労働省・国土交通省・観光庁は連名で、都道府県等に「住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について(技術的助言)」を通知しました。届出住宅の増加で「住宅地の静穏な居住環境や定住人口の維持上の懸念」が生じている、というのが理由です。正確には法改正でも国の個別の許可でもなく、地方自治法にもとづく技術的助言として「合理的に必要と認められる限度」であればゼロ日規制も可能だという法解釈を示したものです。通知の内容は今後ガイドラインにも反映されます。

論点2017年ガイドライン2026年7月の技術的助言
条例で0日にすること法の目的を逸脱し「適切ではない」「合理的に必要と認められる限度」で可能
想定される区域(180日の範囲内で期間を制限)住宅地・学校周辺で静穏な環境が損なわれるおそれがある区域。住宅の民泊転用で定住人口や地域コミュニティの維持が難しくなるおそれがある区域
新規の届出期間の制限のみ新規の実施を禁止、または営業可能日を土日祝前日などに限定できる
既存の届出住宅言及なし「既に多くの民泊があり、現に著しく損なわれている」「他に適切な対応策がない」場合に、猶予期間を設けて禁止や土日祝前日限定も「考えられる」
ICTによる管理言及なし騒音計・出入口カメラの設置、モニタリング、過去1年分などのデータ保存を条例で義務付けられる
その他言及なしチェックイン・チェックアウト時刻の制限、定員の上限も条例で可能

新規は「禁止できる」、既存は「条件付き」

通知が明確に認めたのは、新規の届出に対する禁止です。既存の届出住宅への制限は、多数の民泊で現に弊害が生じていて、ほかに手段がない場合に、猶予期間を置いた上で「考えられる」という書き方にとどまります。ハードルは新規より明らかに高く、既存の届出住宅を全面的に0日にする条例が施行された例は、2026年9月時点では確認できません。ただし新宿区は2026年9月8日、住居系用途地域での新規の原則禁止などを、施行後2年の経過措置を置いて既存施設にも適用する方針を公表しています。

一方で見落とされやすいのが、届出者の変更です。新規禁止の区域では、売買・相続・個人から法人への切り替えなどで届出をした事業者そのものが変わると、法3条の新規届出が必要になり、その届出は受理されません。つまり、いま営業している届出住宅でも、届出者が変わった時点で営業を続けられなくなります。商号や住所の変更のように変更届で済むものは、この話には当たりません。

ICT管理の義務付け:騒音計・出入口カメラ・1年分のデータ保存

通知のもうひとつの柱が、ICTを用いた管理の義務付けです。法10条の苦情対応義務を根拠に、建物が密集した都市部などでは、騒音計や出入口のカメラを設置してモニタリングし、過去1年間分などのデータを保存することを条例で義務付けられる、と整理しました。自治体が保存データを見て管理状況を検証できるようにする狙いで、2026年8月には観光庁が自治体職員向けに騒音監視・出入口カメラ・遠隔モニタリング機器の説明会を開いています。何を入れればよいかは、ICT管理の記事で機器ごとに整理しています。

簡易宿所との「整合」

通知は、住宅地の環境を守るために民泊新法を規制するなら、簡易宿所等も同様に規制するといった整合の確保に留意するよう求めています。都市計画による立地規制や、旅館業法3条3項(学校周辺の許可の運用)が例に挙げられています。簡易宿所はそもそも住居専用地域で営業できないので、直接の影響は小さいものの、「民泊新法がだめなら旅館業法で」という逃げ道が、自治体によっては同時に狭まる可能性があります。

どこで何が起きているか:自治体と時期による違い

通知から2か月で、動きは東京と京都に集中しています。既存の扱いが自治体ごとに違う点に注目してください。

自治体内容既存の届出住宅時期
豊島区住居専用地域・住居地域・準工業地域・文教地区(区内の約7割)では新規の営業を全期間禁止。区全域で営業可能日を春・夏・冬休みの年120日に限定120日制限は既存施設にも適用(約1年の経過措置後)2026年12月16日から適用
台東区10月1日以降の新規届出は家主居住型・不在型とも平日営業不可。さらに住居専用地域・文教地区で2027年1月以降の新規営業を禁止する条例改正議案を9月の区議会に提出9月30日までの届出分は平日制限の対象外。新規禁止も既存は継続可と区が説明2026年10月1日施行。2027年1月の新規禁止は議案審議中
墨田区2026年4月1日以降に届出が受理された施設は、日曜正午〜金曜正午の営業不可(届出住宅内などに管理者が常駐する場合を除く)。旅館業にも従事者の常駐を義務化3月31日までの届出分は対象外2026年4月1日施行
江戸川区住居専用地域・住居地域では、管理業者に委託する管理業者管理型の新規は不可。家主管理型は、その区域に3か月以上前から居住していることが条件6月30日までの届出分は経過措置で対象外2026年7月1日施行
渋谷区制限区域を住居地域・準住居地域に拡大(制限区域は年63日)、近隣周知を届出60日前に条例に従う2026年7月1日施行
新宿区住居系用途地域で新規を原則禁止、商業系用途地域は年120日に制限。旅館業も小規模施設の新設禁止、フロント設置・従業員常駐・対面チェックインを要件に施行後2年の経過措置を置いて既存施設にも適用する方針2026年9月8日に区長が公表。パブリックコメントを経て条例改正へ
京都市住居専用地域・工業地域で、家主居住型・不在型を問わず新規の営業日数を0日にする素案。あわせて簡易宿所と届出住宅の双方に、施設内か隣接建物への常駐を義務付ける案ゼロ日規制は既存に適用しない。常駐義務は猶予期間を置いて既存にも適用する方向で検討2026年8月31日に素案。2027年2月の市会への条例改正案を目指す
軽井沢町(長野県)県条例で5月・7〜9月は営業不可など制限が重なり、実質の営業可能日は年約32日。町は「町内全域で認めない」方針を掲げ、ゼロ日規制を可能にする裁量の拡大を求めている未定県は2026年3月、国へ裁量拡大を要望する予定と回答

通知が想定する二つのケースは、そのまま自治体の理由になっています。東京の各区は「住宅地の静穏な環境」、京都市は苦情の増加と住民アンケートで7割が規制強化を求めたことを挙げています。決定済みなのは豊島区・墨田区・江戸川区・渋谷区で、台東区は議案審議中、新宿区は区長の方針表明、京都市は素案の段階と、進み方には差があります。台東区の届出住宅は8月末で約1,440件、京都市は2025年度末で1,216件と、いずれも急増した地域です。

福岡の物件はいまどうか

福岡県・福岡市には、2026年9月24日時点で法18条にもとづく上乗せ条例がなく、7月の通知を受けた条例の制定や改正も公表されていません。福岡市内の物件も含め、民泊新法の届出は福岡県生活衛生課が県内全域を受け付けており、条例をつくるとすれば届出を受ける福岡県(市が事務を引き受ければ福岡市)です。通知が触れている都市計画による立地規制なら、福岡市が特別用途地区などで行うこともできます。

POINT福岡は「対象外」。ただし届出は急増している

福岡県内の届出住宅は約1,900件(2026年8月末の県の届出名簿)で、その7割強が福岡市内に集中しています。2026年は8か月で新規の届出が500件を超え、2025年1年分を上回るペースです。この増加が続けば、条例による規制強化が検討課題になる可能性はあります。ただし件数が増えただけで規制が入るわけではありません。通知が前提にしているのは、生活環境や定住人口への具体的な影響と「合理的に必要と認められる限度」で、苦情の状況などを踏まえた自治体の判断が必要です。

結論:今後営業できなくなる可能性はあるか

答えは「物件の場所と、制度と、届出者で決まる」です。可能性の高い順に並べると次のようになります。

ケース営業できなくなる可能性理由
規制を決めた自治体の住宅地で、これから民泊新法で始める高い(すでに不可の区も)豊島区は12月から新規禁止、台東区・新宿区は条例改正を進行中、京都市も同方向の素案
規制を決めた自治体で、すでに届出済み中。日数が減る形が先に来る豊島区は既存も120日。新宿区は2年の経過措置後に既存へ適用の方針。全面禁止の施行例はまだない
規制自治体で、届出済みの物件を売却・承継する高い届出者が変わると新規届出扱いになり受理されない
福岡市で民泊新法の届出住宅を運営している現時点では低い上乗せ条例なし。今後は福岡県の条例か福岡市の都市計画を見る
福岡市で旅館業法(簡易宿所)で運営している低い日数制限の対象外。ただし住宅地では都市計画による整合規制の可能性が残る

事前に確認しておくこと:

  • 物件の用途地域(住居専用地域・住居地域・文教地区か)と、学校等の周辺規制の対象区域に当たるか(距離の基準は自治体・制度によって違う)
  • 物件所在地の条例と、議会・審議会・パブリックコメントに出ている改正案の有無
  • 届出者。個人名義のまま法人化・相続・売却を予定していないか(規制区域では届出者の変更=新規届出で、受理されない)
  • 民泊新法から旅館業法へ切り替えられる建物か(用途地域・建築確認・消防設備・管理体制)
  • ICT管理が義務化された場合の費用(騒音計・カメラ・1年分のデータ保存)と、宿泊者への説明

制度ごとの詳しい要件は、3制度の比較記事と許可・届出まとめの記事で扱っています。

補足:数字で見る背景

指標値(時点)
全国の届出住宅42,070件(2026年7月15日)。届出累計65,837件のうち廃止23,767件
福岡県の届出住宅1,844件(2026年7月15日、観光庁)。届出累計3,136件のうち廃止1,292件。県の届出名簿では1,921件(2026年8月31日)
直近の宿泊実績2026年4〜5月の宿泊日数624,088日、前年同期比138.6%

届出住宅は全国で4万件を超え、宿泊日数は前年から4割近く伸びています。国が7年ぶりに立場を変えた背景には、この伸びの速さがあります。

参考にした主な一次資料:観光庁 報道発表「地方公共団体に対して民泊に関する通知を行いました」(2026年7月15日)、観光庁 住宅宿泊事業法の施行状況、豊島区 住宅宿泊事業法の条例を改正しました、台東区 令和8年第3回区議会定例会 区長発言(2026年9月8日)、新宿区 定例記者会見 区長説明要旨(2026年9月8日)、墨田区 民泊対策を大幅強化、本日から「新条例」を施行(2026年4月1日)、江戸川区 住宅宿泊事業(民泊)を始める方へ、京都市 第2回京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議(2026年8月31日)、長野県 軽井沢町から提出された宿泊関連規制強化要望に関する意見書について、福岡県 住宅宿泊事業の届出情報

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この記事を書いた人

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入社8年目。ゲスト対応からコンサルティング、収益計画、運用の仕組みづくりまで、民泊・ホテル運用の業務をひと通り担当してきました。 ブログでは感覚だけではなく数字で判断できる情報をオーナー様目線で書いていきます。

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