定員を増やせば売上は増えるのか — 160室の実績で見る「最大人数とADR」
「定員は多いほど有利」と考えて部屋を作ると、あとで数字が合わなくなることがあります。福岡市内・近郊で当社が運営する160室の直近1年の予約実績で、定員とADR(平均販売単価)の関係を確かめました。
対象は直近1年に一定以上の予約実績がある160室。ADRは清掃費込みの販売単価、「1名あたりADR」はADRを実際の宿泊人数で割った値です。なお本記事では、物件ごとの数値が特定されないよう、金額は目安の幅で示しています。
定員が増えるとADRは上がる。ただし7名で鈍る
| 最大人数 | ADRの目安 | 1名あたりADR | 実際の平均人数 |
|---|---|---|---|
| 2〜4名 | 1万円台半ば | 6,000〜7,000円 | 定員の7〜8割 |
| 6名 | 2万円台後半 | 7,000円前後 | 定員の7割 |
| 8〜10名 | 4万円台 | 7,000円台 | 定員の6〜7割 |
| 12名 | 5万円前後 | 7,000円前後 | 定員の6割 |
定員6名までは、定員が1名増えるごとにADRが数千円単位ではっきり上がります。ところが7名以上に絞って見ると、1名あたりの伸びは半分以下になり、定員とADRの相関もはっきり弱くなります。
「定員が高いほどADRが高い」という関係は、小さい部屋と大きい部屋の差から来ています。大人数向けの部屋どうしを比べると、定員はADRをほとんど説明しません。
1名あたりADRは、どの定員でも7,000円前後
上の表の「1名あたりADR」の列を見てください。定員2名でも12名でも、おおむね6,000〜8,000円の間に収まっています。
POINT定員を増やしても、1人が払う金額は増えない
「定員12名だから7,000円×12名=84,000円」にはなりません。実際の売上は「来たグループの人数×7,000円前後」です。7名以上では、定員が増えるほど1名あたり単価はむしろ下がる傾向があります。
定員4名の帯だけ1名あたり単価がやや低いのは、ダブルベッド2台の30㎡未満ワンルームが多く、単価競争の激しい価格帯だからです。
売上を決めるのは「最大人数」ではなく「平均人数」
定員を1名増やしても、実際の平均宿泊人数はその半分程度しか増えません。7名以上ではさらに鈍ります。
| 最大人数 | 充填率(平均人数÷最大人数) | 稼働率の傾向 |
|---|---|---|
| 7〜8名 | 7割前後 | 基準 |
| 9〜10名 | 6割台 | 7〜8名より低い |
| 12名 | 6割前後 | さらに低い |
定員12名の部屋は、平均するとおよそ4割の定員が空いた状態で売れています。一方、清掃・リネン・寝具・アメニティのコストは定員分でかかります。使われない定員は、売上にはならないのにコストにはなります。
定員が大きいほど稼働率も下がります。大人数のグループは絶対数が少ないので、定員を上げるほど「その人数で来る客」を待つ時間が長くなるためです。
7名以上のADRを決めるのは、定員より面積と立地
7名以上の部屋でADRとの関係が最も強かったのは面積で、定員を上回りました。
| 面積 | ADRの目安 |
|---|---|
| 50〜70㎡ | 3万円台 |
| 70〜120㎡ | 4万円台 |
| 120㎡以上 | 5万円前後 |
ただし面積と定員は互いに相関が強く、大人数向けの部屋数は限られるため、効果を完全には分けられません。はっきり言えるのは、7名以上のADRのばらつきは定員でも面積でも一部しか説明できず、残りは立地と物件のグレードで決まっている、ということです。
まとめ
- 定員6名までは定員がADRをほぼ決める。7名以上では効果が小さい
- 1名あたり単価は定員に関係なく7,000円前後
- 定員を1名増やしても、増える平均人数はその半分程度。残りはコストだけの定員
- 7名以上でADRを上げたいなら、定員より面積と立地
次回は同じデータで「ダブル・シングル・布団・ソファベッドをどう組むと、実際の宿泊人数が増えるのか」を扱います。お持ちの物件の定員設計や、エリア・間取りごとの具体的な数値は、無料の収益シミュレーションで個別にお伝えしています。

